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セゾン・サンカンシオン を読んだ。

セゾン・サンカンシオン

セゾン・サンカンシオン

図書館で新刊の棚に並んでいて、最近の流行りのラノベっぽい表紙で、本屋ではたぶん手に取らないけれどこういうのにも手が出せるのが図書館のいいところ、なんて思いながら借りた。

読み出してみると、ラノベっぽいところはひとつもなくて(とは言っても、ラノベ、一冊も読んだことないんだけれど…)、なかなか硬派なエンタメで、見事に期待を裏切られ、2時間くらいで一気に読了。エンタメでありながら依存症についての知見も得られるという知的好奇心部分も刺激されて、久々に良質なエンタメに触れた!という興奮。

依存は性格ではなくて、脳の病気であるということ(ドーパミンだけが出るような状態、つまりオキシトシンの放出がうまくいかない。)、依存症とどう付き合っていくか、家族がどうサポートしていくか、貧困の連鎖、社会の援助、、、書き出すと重いテーマなんだけど、そういうのをエンタメでラッピングして学べるっていいよね。きんにくんのYoutubeみたい。エンタメと専門性は意外と相性いい。

(以下、内容に触れます。)

ストーリーは、タイトルになっているセゾン・サンカンシオンという共同生活施設に入所する、依存症とともに生きようとする女性たちの連作短編集。それぞれの人生が少しずつ寂しくて、ときたま泣けた。

自分も何かに依存しやすいところはもちろんあるし、たまに人よりそれが強いんじゃないかなと思ったりもする。いろいろな依存症の人が出てきたが、アルコール依存症はなんかどこかで掛け違えたら自分もなっていたかもしれないし、これからもその可能性がありそうでその怖さ、悲しさが一層リアルだった。

最後、家族愛というか親子愛みたいな部分でクライマックスでまんまと泣くんだけど、自分は子供もいないし、両親ともあっさりした関係なのになんでこういうのに泣いちゃうんだろうなぁ?(しかもけっこうわんわん泣いた)人間のDNAなのかな?ってちょっと半分冷静だった。(本筋とは関係ないけど。)